羊とメトニミー

伏流水のなかに棲んでいる

これから沖縄で遊ぶ人に読んでもらいたい備忘録 -ご飯編-

3. ご飯編

 

さて、沖縄備忘録最終回はご飯編です。

 

-3.1 安くておいしい公設市場ご飯

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・公設市場がなんとなく似合う男

 

公設市場とはいわば食材を売る市場のことで、海産物から豚の頭まで、沖縄の名産物といわれるものはだいたい何でも売っている。国際通りから一本商店街を入った中にあり、2階建ての作りになっている。

 

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・豚が生きている姿と限りなく近い形で売られていたり

 

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・謎の海藻が山積みになっていたり

 

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・水槽からはみ出さんばかりにすんごい色のエビがいたり

 

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・すんごいお値段の石垣牛がいたり!

 

食材屋通りの隙間には飲み屋や飲食店が並ぶ。わたしたちが沖縄について最初に食べたご飯は、公設市場の390円のソーキそばだった。

 

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・390円ソーキそば 肉がデカい もともとは350円だったんだね…

 

東京人の感覚でいくと390円なんて絶対に有り得ないのだけど、大変おいしいソーキそばだった。田舎さんというお店で、おばちゃんが一人でテキパキ切り盛りしている。ここのソーキそばは食べる価値ありです。

 

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・店内の掲示物が手書きばかりで好感度が高い

 

 

他にも市場内には1階で魚を売って2階で調理してくれるお店なんかが多い。お値段を聞いたら魚1匹23000円で、調理代500円を払うと2階で好きなように調理してくれるらしい。2日目のシュノーケリングのときに、インストラクターのおっちゃんに「そういうパフォーマンスにお金を払いたい人なら買ってもいいと思うよ」という誠に的確なアドバイスを頂いた。

 

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・こいつら慶良間の海の中で見たぞ

 

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・これは市場内で300円で買ったまぐろのお刺身。二人で食べて大満足の量。

 

公設市場の食材屋、特に海鮮物や肉を売っているところは本当に愛想がなくて痺れる。日本にいながら売っているもの(どうやって食べるのかすら分からない)も雰囲気も日本じゃないような空気を味わえるのも、ここの魅力の一つだと思う。国際通りの商業めいた雰囲気も好きだけど、個人的には商店街をフラフラした後に公設市場でいろいろな食材屋を冷やかすのがとても楽しかった。

 

 

-3.2 乱立するステーキ屋

 

残念ながら写真を撮り忘れてしまったけれど、沖縄にはとにかくステーキ屋が多い。犬も歩けばステーキ屋に当たる。国際通り周辺を100歩歩けば必ずステーキ屋が見つかる。そしてステーキ屋はだいたい朝5時までやっている。地元の人曰く、「沖縄の人は酒が好きだけど、飲んでいる最中にほとんど何も食べない。だからお腹が空いてステーキを食べるんだと思う」とのこと。お腹が空いた沖縄人のためにステーキ屋ができたのか、ステーキ屋があって沖縄人が行くようになったのかは分からないけれど、ともかくステーキ屋がある。

そしてはてしなく安い。もちろん高級な石垣牛やアグー豚などを出す店もたくさんあるけれど、チェーンでやっているステーキ屋はサラダ、ライス、スープの食べ放題がついてステーキ200グラム1000円でやっている。肉は間違いなくおいしい。

 

ファミレスでいうところのサイゼリヤやジョナサンのように、ステーキチェーン店も何種類かあって、高い肉も安い肉も売っている。肉だけでなくロブスターを提供しているお店も多かったけれど、ヤツは小ぶりの半身ですら1800円するので社会人になってからのお楽しみにしようと思った。

食べログを見る限り深夜の沖縄ステーキ屋は荒れるらしい。考えてみれば40度超えの泡盛を入れた飲んだくれが騒ぐのだから、おそらく深夜1時の歌舞伎町と治安は大差ないだろう。治安のよいステーキ屋を求めるなら、21時までに入店したほうが良さそう。

 

 

-3.3 ビュッフェノススメ

 

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・写真が下手だけど5日分くらいの野菜を食べた図

 

沖縄に行ったら大衆ビュッフェとお高いビュッフェの両方に行くと良い。3日目の夕方、商業複合施設のようなビルの上にあるあまり高くないビュッフェに行った。名前は忘れたけど、1600円で沖縄野菜のサラダバーや数々の沖縄郷土料理、3種類くらいのご飯や汁物、麺類、しゃぶしゃぶ、和洋中を取り揃えたおかず、更には甘いものやチョコレートフォンデュが食べ放題、たくさんの種類の飲み物が飲み放題というとんでもない天国だった。野菜が不足しがちな我々は真っ先にサラダボウルに5日分くらいの野菜を盛ってさまざまなドレッシングをかけた。おいしかった。

ビュッフェを勧めたいのは、いろいろな種類の沖縄料理を一気に食べられるからだ。沖縄料理には、ゴーヤチャンプルーとかにんじんしりしりとか、「お金を払ってそれ単体だけを食べるのはなんとなくコスパが悪そうなもの」が多い。なぜなら、たいていが家庭料理だから。ソーキそばや沖縄そばなんかは各所でおいしさと安さを競い合っているので良いのだが、いかんせん沖縄の料理は種類が多いこともあり、「一品だけ」を頼んでお金を払うと肩透かしを食らいがちである。だから、こだわりのある料理以外はビュッフェで一気に食べたほうが満足できるのではと思う。

 

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・センスの欠片すらないハラペコの盛り付け。でもJALプライベートリゾートだけあって最高においしかった

 

高いビュッフェは高いビュッフェでたのしくておいしい。ホテルのレストランで食べるビュッフェはやはり味のレベルが高いし、オシャレだから見るのも選ぶのも楽しいし、国際通りや公設市場で「高級品」の札が貼られている食材なんかがぽんぽん出てきたりもする。これは沖縄であろうと東京であろうと変わらないことだけど、良いところで良いものを食べると自分がイイ感じになれる。それが海のきれいな沖縄というだけで特別感が数割増しになる。つまるところ、沖縄に来たらビュッフェに行こうという話です。

 

 

-3.4 地元食堂ノススメ

 

今回予期せずわたしたちが盛り上がったのは「地元の食堂探し」だった。と言っても実際に入ったのはほんの数軒だったけれど、美栄橋や県庁前の周辺はビジネス街ということもあり「ここ、中どうなってるんだろう…」と気になる食堂がたくさんあった。外観を見て回っているだけで楽しい。ヤのつくひとが弁当を大量に買っていった24時間営業のだだっ広い食堂、食品サンプルが変色して崩れ落ちているけれど店内は賑わっている食堂などなど。

 

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4日目の夜に立ち寄ったこちらの食堂。ご主人が石垣島の出身で、いまはほとんど石垣島でしか採れない香辛料をつかった沖縄そばのような麺を出していたのだけど、本当に本当においしかった。

 

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翡翠麺に近いような色の麺。あっさりしているけれど香辛料の香りがしっかりしてたいへんおいしゅうございました

 

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・ご主人 とても熱心にいろいろな話を聞かせてくれる

 

この香辛料は毎年ご先祖を迎えるときに必要なもので、今でも石垣島に行けばどの家の庭にも植えてあるらしい。昔は沖縄本島や諸島でもその習慣があったけれど、今では廃れて石垣島でしか育てられていない。胡椒のような辛味とさわやかな香りがあって、乾燥させてすりつぶせば身体の冷えや鼻炎によく効く。昔のお母さんたちは冬場の洗濯物をするまえにこの香辛料を食べて、身体を温めて洗濯物をしていた、というめちゃめちゃおもしろい話を聞かせてくれた。

 

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・「本島の人は今作ってないけど、うちは店の外で育ててるのよ」とわざわざ外まで見せに来てくれた

 

 

しばらくしてわたしたちの席の隣に来ていた団体が「三線を貸してほしい」と言い出し、そしたらご主人が出てきて弾いて歌ってくれた。みんなで三板(さんば)と呼ばれる楽器を借りて三線と一緒にカラカラやったりしてすごーーく楽しかった。

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三板の鳴らし方も教えてくれた

 

沖縄の地元食堂は入り口が狭かったり店内が暗めだったりと一見入りづらい雰囲気のところも多いけれど、ご飯はおいしいし何より店内で起こるいろいろなことがとても楽しいので、ぜひ寄ってみてほしい。フレンドリーで親切な人が多いため、興味があれば沖縄の郷土料理や伝統芸能のことなどを訊いてみるのもいいかもしれない。「おじい、おばあ」と呼ばれるおじいちゃんおばあちゃん(おじちゃんおばちゃん)世代の人の話は本当におもしろい。沖縄の食堂はご飯を食べに行く場所というより、島の人と空間を共有できる場所なのかもしれない。

 

 

-3.5 沖縄のご飯はおいしいのか論争

 

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・ダイビング後のおしゅし

 

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・サーターアンダギー安くてうまい

 

結論、おいしい。インターネットでよく「沖縄のご飯はおいしくない。お金を出して食べるほどのものではない」という意見が見られるが、そんなことなかった。ソーキそばは出汁の旨味がすごいし、ちゃんとした寿司屋ではちゃんとした寿司が出てくる。にんじんしりしりは次行ったら絶対にまた食べたいし、てびちーやラフテーのポテンシャルはめちゃめちゃ高い。同行人いっちゃんはジーマミー豆腐が好きになったし、わたしは豆腐ようのファンになった。ブルーシールアイスは渋谷のジェラートよりおいしかったし、国際通りに行けばほぼ毎回揚げたてのサーターアンダギーを食べた。

 

「おいしくない」というのは、単に味覚に合わないというだけでなく、「払った金額に見合う満足度を得られなかった」という気持ちからも生まれると思う。たしかに高級ホテルに泊まってそこのビュッフェで沖縄料理ばかりを期待して取ってくれば「これは…」となるかもしれないな、と思った。高級ホテルレストランと相性の良い料理はそんなに多くない。

 

沖縄はご飯に限らず全体的に物価が低めだ。学生旅行で食べるご飯、言ってしまえば、「お金はそんなにないけど沖縄を味わいたい」というひとと沖縄料理はとても相性が良いのではないかと思った。こんな安さでこんなにお手軽に郷土料理が食べられる!しかもうまい!という感動がある。そういった文脈もわたしの「おいしい」にはかなり加味されたように思う。

 

 

4. おわりに & 番外編のおまけ写真

 

沖縄行けて本当に良かったです。わたしが普段遠出をするときはもっぱら「山に登る」という目的がある場合が99%で、純粋に旅行を楽しむ遠出はとてもひさしぶりだった。単純に何かが見られて楽しかった、どこかに行けてよかった、ということではなく、毎日想像を遥かに超えた体験ができたのが本当に楽しかった。

 

「沖縄旅行」というと、どうしても安全地帯で観光をするだけに留まってしまいそうなイメージで、実際に自分が高校2年生のちょうど今頃に行った修学旅行がそうだった。名物コース、ハズさない遊び場、学びがありそうなコンテンツ。そういった「適度に楽しめるよね」というものを一方的に押し付けられたような気がして、あのときは、正直心の底から楽しむことができなかった。けれど実に5年ぶりに沖縄を再び訪れて、メインイベント以外は何も決めずに、文字通り行き当たりばったりで沖縄を楽しめたのは、間違いなく今後の自分の旅行の在り方に大きな影響を与えるだろうな、と感じた。どうやってその地を楽しむのか、その地を空気を味わうとはどういうことなのか、どういう場所に行くとおもしろい情報が手に入るのか。体感でしか習得できない嗅覚みたいなのを培えた旅でもあったと思う。というわけで、これから沖縄に行く方々、ぜひとも観光コースを外れて自分で好きに計画を立てて遊びに行ってください。とは言え沖縄はほとんどの場所が観光地で、観光客が少なくともひとりくらいはいます。どんな場所をどう組み合わせてどう楽しむか、その過程を楽しみながら、よい旅をしてください。

 

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同行人いっちゃん、お世話になりました!ぎゃお〜

 

 

おまけの写真たち

 

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・310円でブルーシールアイスをとにかくモリモリ乗せまくってくれるおばちゃん

 

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ブルーシールアイスおいしいの顔

 

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・道端で三線を弾いていたおじさん。唄もうまい。素敵ですね!と言ったら「独学で3ヶ月前に始めたばっかり」とのことでびっくり。3ヶ月で路上ライブを始める自由さがすごくいい

 

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・公設市場で売っていた謎ショートケーキ。たぶんショートケーキじゃない。色がアメリカン

 

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・コンビニで見つけた泡盛コーヒー。インターネット情報によるとおいしいらしい。

 

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・沖縄のファストフード店はA&Wという店が一般的なようで、そこはルートビアが飲み放題なんだけど、ヤツの味は本当にやばい。通称「飲むサロンパス

 

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・デザイナーが見たら発狂しそうな駐車場の看板