汽水域

海水と淡水のあいだ

我われは結婚指輪を作りたかった

わたしと夫はまだ結婚指輪を持っていない。結婚と同時期にやれ引っ越しだ転職だコロナだと重なり、暮らしにひととおりの安定感を保つのに精いっぱいだったからだ。 我われはアクセサリーがそこそこ好きだ。もっと言えば、愛せるアクセサリーというものを知っ…

高校生の皆さんへ

緊急事態であるいま、毎日さまざまなメディアからとてつもない量の情報に触れていることと思います。特に、政治や社会制度、特定の人物に対する批判や賞賛なども、数多く目にするでしょう。そのなかで、激しい言葉や極端な考え方に出遭うこともあるかもしれ…

ADHDを克服しようと思う

克服しようという気持ちで克服できるんかって話だけど、ひとまず本気で克服しようと思う。これまでいろいろな方法で「対処」を頑張ってきたけれど、ADHDでいること自体のストレスに対して、「対処」がそろそろ限界だと感じるようになってきたから。 一昨年、…

日記の書き方を忘れた

日記にそもそも書き方などない。天気を記録するだけでもじゅうぶん日記だし、心の内を切々とさらけ出すも日記である。「書き方がわからない」と思ってしまうほど、ことばがわたしから逃げてしまっている。 非常事態。ここ1ヶ月はずっと神経が張り詰めていて…

拝啓 健常な社会様 病をお許しいただけますでしょうか

最近、喘息、過換気症候群、不整脈という診断が下された。数年前からどうにも喉と胸のあたりがおかしく、昨年の夏頃からいよいよ深刻っぽくなったので、いろいろなところを検査した。結果、心的なストレスに極度に弱くそれが体に表れやすいことと、肺の機能…

200104diary_変な時間に寝て起きる

一昨日は3時に起きて海岸に日の出を見に行き、今朝は5時に起きて別の海岸に日の出を見に行き、そんなこんなで今日は夕方の6時に少し昼寝をしたつもりが、目が醒めたら深夜だった。みかんを食べる。変な時間に寝起きするのは時間感覚がなくなってすこし楽しい…

二人暮らしを始めたら、いよいよ逃げられなくなった

二人暮らしを始めた。人と二人で、暮らし始めた。暮らしを始めて少しして、ああもう逃げられないんだなとわかった。わたしには、わたしの胸には、あらがいがたい穴がある。 昔から、それはもうほんとうのほんとうに昔から、胸の真ん中に穴があいている。穴は…

山田くんは怖かったけれど、怒っている彼はうつくしかった

席替えがあるたびに、わたしは神さまに祈った。どうか、どうか山田くんの隣になりませんようにと。 山田くんは3年2組の問題児と目されていた。授業中はとにかく騒ぐ。大声でマシンガンのように喋り続ける。消しゴムをちぎって投げる。コンパスで前の席の子の…

安定は安心を連れてきてはくれない

「安定した企業に就職したい」と目の前の子が言う。どうして、と問うと、「だって、そうすれば将来安泰だから」。「安泰っていうのはつまり、何も心配しなくていいということ?」「そう」「安心できるってこと?」「うん。親も安心すると思う」「でも、いま…

フライパンから炒めものをじかに食べる生活

カブと小松菜を炒めたのをフライパンごと机に運び、鍋敷きを二重に敷いて、フライパンからじかに食べる。品というのはこういうところからなのだろうか。誰も見ていない家の中で炒めものをフライパンからじかに食べる女。せめて皿に盛り付けてはどうかと思っ…

東京で生きていくということ

東京を生きていくために必要な技術はいくつかある。他人と肩が触れ合うかどうかの電車に乗ったらすぐにポジションを確保しミニマルな動作でリュックサックを背中から前に抱え直す技術。スーパーのタイムセールの時間が近くなったらそれとなく店員さんの動き…

「一言もの申し上げたい欲」のためにセンシティブな話題を燃やす人間が多すぎる

銀座いせよしのポスターの昭和臭…本当にこれが東京コピーライターズクラブの新人賞?冗談…ハーフはペットじゃないし着物は自分のために着るんだよ。ドアを開けてくれた人の好意を「自動ドア」なんて失礼な言い方しないでくれ。「年収の高い男ならナンパされ…

190601diary_眠りの瞬間

6月になった。気づけば一人暮らし生活がとっくに5ヶ月以上経っていてびっくりする。そろそろ2回目の四半期を迎えるらしい。まじか。でもたしかに、この部屋で色々な室温を味わったような気がする。 生活は、楽しい。4月末から5月半ばにかけて仕事がだいぶ大…

190423diary_生きていたいのに透明になりたい

生きているのが好きだ。生きていると、けっこういろいろ幸せを感じられる瞬間がある。春の空の淡さ。信号待ちをしている犬のお尻。野菜のトマト煮込み。木漏れ日。炊飯釜の手触り。フラミンゴの膝。季節の花々。風の味。炭酸水。夜道の街灯。花瓶。大きな建…

190421diary_散らばる鳩の残骸を見て

鳩サブレーを数年ぶりに食べた。びっくりした。鳩サブレーってこんなにおいしいの?砂糖と小麦粉と卵だけで?うそお? 鳩サブレーめちゃくちゃおいしい。おいしいが、めちゃくちゃボロボロこぼれる。もう、こぼれる。せんべいどころの話じゃない。週5で飲み…

虚無にはセブンイレブンコーヒー、地頭はぜんぶファック

今日は昼過ぎから体調とメンタルが完全に終わっていた。悪い。悪すぎる。ひとえにこの連日の雨と寒さ、吹きつけるビルの谷間からの風。悪天候は健康を大きく損なう。頭がどんどん重くなり、何かを考えようとしてもまともに言葉が出てこない。だんだん自分が…

諦めが生む飾らなさ/相澤義和『愛情観察』レビュー

相澤義和さんの写真集『愛情観察』を買った。ものすごく良かったので、感想を書く。 www.amazon.co.jp 撮影スタッフとして参加したブックフェア「ポトラ」に、この本の出版元である百万年書房も出店していた。ブースで『愛情観察』を手にとって、数ページめ…

地球の反対側にいるきみ、あるいは春が来ないと嘆くあなたへ

いま、仲のいい友だちが4人、日本じゃない場所にいる。ある2人は研究者、ある人は起業家、ある人は派遣隊として、それぞれみんな別の場所で別のことをがんばっている。 遠くにいる友人に、ここに吹く風の音や、季節の訪れを伝えたくて、手紙を書きました。該…

東京一人暮らし物件探し、結局どこでもオタクは強い

24歳、初の一人暮らし。自立がだいぶ遅れてやってきましたね。実は半年以上前から物件自体は探していて、去年のうちから内見もしていたのですが、年始にちょっと本気を出した結果ほぼ数日で決まりました。めでた〜い。 内見した物件数、28。まわった不動産屋…

きみを手放したから、もうどこへでも行ける

出ます出ます詐欺をおよそ1年続け、ほんとうのほんとうに出ます。実家を。1月に。これはマジです。2018年最後につく嘘にしないよう、12月の1ヶ月間をかけて、家中にある所持品の量を半分にしました。 実は15歳か16歳くらいまで、かなり重度のぬいぐるみ依存…

南青山に児童相談所を建てさせたくない成功者たちは、失う不幸に怯えている

南青山に児童相談所施設などが入る予定の施設が建設されるらしいが、周辺住民の一部がそれに猛反発をしているというニュース。 www.businessinsider.jp youtu.be 動画は、けっこうキツい。気持ちが弱っている人はあまり長く見ないほうがいいかも。児童相談所…

みやかわくんとぼくりりが歌うaNYmOREは生々しさの種類がぜんぜん違うという話

ぼくのりりっくのぼうよみ、引退しちゃいますね。あと一ヶ月半。 引退発表をツイッターで知り、エエエエ〜〜〜〜〜〜!!!!!!と叫びながらその場でチケットぴあのサイトに音速でアクセスし、直近のライブチケットを光速で取って名古屋まで追いかけていっ…

「バーニラ、バニラ、バーニラバニラ 後ろの正面、だーれ?」

デスクトップに常時開きっぱなしにしているstoneに、毎日ちょこちょこ何かを書きつけている。ほんとうに、気づかないうちに。そしてはっと気づいたら窓がいっぱいになっていたので、ひとまず並べておく。メモを書きつけている感覚だったけど、日記なんだなこ…

死ぬのって、夢から覚めるみたいなもんなのかな

眠っているときに見ている夢のなかって、現実世界ではありえないような出来事やシチュエーションをいつの間にか当たり前のものとして受け入れてストーリーが進んでいく。あれ、目が覚めたあといつも不思議だなあと思うんだけど、ほんとうに違和感なく「そう…

高貴なコンビニサラダと、わたしの抱えるカルマについて

その日、昼食を食べそこねたわたしは、狂ったようにローソンの海藻ミックスサラダが食べたかった。16時。もう、狂おしいほどに。 昔から、お腹が減ると人はイライラするのが世の常とされていますが、加えてわたしは大変厄介なカルマを背負っている。お腹が減…

「もっと甘えてよ。弱い姿、見せていいんだよ?」「ご冗談を……」

「もっと甘えてほしい」「弱い姿を見せてほしい」とか言われると、すごく困る。だって、誰かに「甘えて」救われた経験なんて、ただの一度もないので。 「甘える」とは一体どういうことなのか。いまだによくわからない。「お言葉に甘えて」「彼女は甘えた声を…

さみしさとは空腹のこと/霧みたいなルームメイトが欲しい

さみしいと、お腹が減った気がする。食欲の秋とはさみしさの秋だ。肉体から発される空腹とさみしさから生まれるまやかしの空腹が綯い交ぜになって、体の力が抜けてしまう。それが秋。秋という季節。 さみしくて仕方ない。理由はない。人間は理由なくさみしい…

読書メモの効率的なとり方を知りたい

仕事上、分野横断的に本を読むことが多い。種類や領域はなんとなく似通っているけれど、歴史や文脈はまったく違う種類の本を大量に読むことがしばしばある。たとえば最近だと産学官連携、大学入試、英語外部試験、教育改革、発想法あたりかなあ。 一冊一冊か…

そろそろトラウマを手放さなくてはならない

トラウマと位置づけてしまっている記憶は、なかなか手ごわい。その記憶はいまこの瞬間のじぶんを傷つけているわけではないのに、ときどき生々しく「そのとき」を再現しては全身をヒリヒリさせる。目を瞑って眉間にしわを寄せて、しばし耐える。過ぎ去る。は…

深堀隆介氏の「平成しんちう屋」行ってきました

平塚市美術館で展示している「平成しんちう屋」に行ってきました。 透明樹脂にアクリル絵の具で金魚を描くスタイルで一躍有名になった深堀隆介氏。ネットで前々から知ってはいたけれど、なかなか作品を見る機会がなかったので行けてうれしかったです。 市立…