きみのお祭り

死ぬまで盛り上がっていけ

2015.05.18

 

身体感覚。自分にしか分からないもの。

 

頭でモノを考えすぎるクセがあるから、頭で考えるのと同じくらい身体で生活を受信している。「から」というのは、人間は何か極端に一つの方向につよい力がはたらいているとき、それと同じ強さで逆方向に力がはたらいていて、ひとはそうやってバランスをとっている、と、小さい頃からなんとなくそう感じている、から。

 

いやらしさや官能のない文脈でひとの身体を丁寧に触るのが好きだ。

頭を何度も撫でたり、首筋や肩を揉んでみたり、鎖骨の辺りを押してみたり、腕をぜんぶ掴んでみたり、背中を手のひらでさすったり、腰を両手で包みこんだり、脚や膝の形をたしかめたりするのが好きだ。目を瞑って触るのが好きだ。手の中で少しずつその人の身体の形が分かって、ときどき思いがけない脈や疲労の蓄積の場所を知る。

許されるならば、自分の半身ぜんぶを使って包みこんだり、手をつないだりするのも好きだ。生命の感触が全身に伝わってきて、その人の身体が何を呼んでいるのか、奥底に何を沈めているのか、何が欠乏しているのか、少しだけ聴こえてくる気がする。そのかすかな呼吸を聴くのが好きだ。でももしかしたらほんとうは、そんな大胆な密着をしてもゆるされる心地良さに、自分の身体が虜になっているだけなのかもしれない。