きみのお祭り

死ぬまで盛り上がっていけ

チョコレート断ちの観察日記

 

「チョコレートは頭の回転をさまたげるから食べないほうがよい」

 

みたいなことを、何かの論文だか記事だかで読んだ。海外のものだった気がする。そういえば昔、わたしはナントカチャイルドアカデミーという場所に通わされていて、母曰く、そのときも同じことをそこの先生に言われたらしい。子供にチョコレートは食べさせるなと。だからしばらくのあいだ我が家からはチョコレートが消えていたし、わたしも昔はそんなに甘いものを食べる子供ではなかった。

 

しかし、今のわたしはチョコレートが大好きだ。コンビニに行けば半分くらいの割合でチョコレートやチョコレート系のお菓子を買うし、夜寝るまえ、歯を磨いたあとでもどうしても食べたくなったら食べてしまう(そしてわざわざ一粒のチョコレートのためだけにまた歯を磨く)。ショートケーキとチョコレートケーキなら迷いつつもチョコレートケーキを選ぶだろうし、卒業するまでに一回はチョコレートフォンデュの食べ放題に行ってみたいと思っていた。

 

そう、わたしはチョコレートが好きだ。いや、チョコレートが好きだと思っていた。この実験を始める前までは。

 

「チョコレートは頭に悪い説」を15年ぶりくらいに改めて知ってから、なんとなく気になって1週間チョコレート断ちをしてみようと思った。ちなみにチョコレート断ちする前のわたしは毎日、少なくとも1日に1回はチョコレートを食べていた。好きというか、あるのが当たり前すぎて、ないという状態があまり想像できなかった。付き合い5年目の彼女かよ。ただやっぱり食べ過ぎだなあという罪悪感はどこかで常に感じていた。

 

1週間食べないと何か身体や頭に影響はあるのか。観察のメモを元にレポートします。

 

 

チョコレート断ち1日目

 

初日にして挫折しそうになる。たまたまこの日は頭をいっぱい使わなければならない日だったため余計に。考え疲れるとチョコレート独特のねっとりした食感と甘さが鼻に抜けていく幻覚をおぼえた。今回はダイエットではなく純粋にチョコレートの効果だけを見たかったので、チョコ以外の甘いものはオッケーにしている。けれど生クリームたっぷりのシュークリームを食べても、ずっしりあんこのつまったお饅頭を食べても、なんだろうこの渇き…という感覚に悩まされた。チョコレートじゃなきゃダメっぽい何かがある。呪いめいている。

 

 

2日目

誘惑が強い。本当につらい。香りの幻覚を殴りたい。(メモ原文ママ)

 

 

3日目

未だチョコレート渇きが続くけれど、前2日にくらべて弱くなりつつある。あんこで代用できるようになってきた。生クリームやプリンなどのたぐいはむしろ食べたくなくなった。材料に脂肪分が多いせいで余計に「チョコレートじゃない!」という感覚が強調されてしまうせいかも。おじいちゃんが買ってきてくれた妖怪ウォッチが墓場鬼太郎の時計だったみたいな感じ。

 

 

4日目

チョコレートの幻覚が消えた。幻覚が消えたら不思議とチョコレートの味が思い出せなくなった。あんこを食べ慣れたせいかもしれない。あんこだと後味が残らないうえにお腹にたまるので、前よりも甘いものそれ自体を食べる回数が減った。生クリームの類を食べてみたけど、味覚の基準が脂肪分から離れたせいか、5日前よりもそれらを美味しいと感じなくなった。これが一番びっくりしたかも。

 

 

5日目

チョコレートのことを完全に忘れる時間が長かった。頭の回転が早くなった気はまったくしないけれど、考えたり勉強をしたりしている合間合間にチョコレートに手を伸ばす習慣がなくなったせいか、前より勉強の持続時間は少しだけ伸びたかも。5分か10分くらいだけど。

 

 

6日目

チョコレートの味を思い出せなくなったせいか、以前どうしてあんなにチョコレート中毒だったのか分からなくなった。この日は珍しく甘いものは砂糖を入れた紅茶しか摂っていない。前より甘いものをとらなくても集中が持続するようになったのはたぶん間違いない。でも頭の回転はやっぱり変わらないようで、単純な統計学の式の理解に2時間かかってしまいメンタルがぶち壊れる。早く寝た。

 

 

7日目

もうしばらく脂肪分の多いデザートのようなものを食べていないせいか、家にチョコレートを使っていないケーキがあっても食べなかった。何をトチ狂ったのか氷をばりばり食べてた。氷がやけにおいしい。時代は氷だなと思った。

 

 

結論

しばらくチョコレートを食べないでいると、チョコレートのことを思い出せなくなる。集中力は少しだけ長続きするようになるかもしれないけれど、頭の回転は別に変わらない。

 

大きく変わったな〜と感じたのは、中毒状態を脱したこと。7日が過ぎておそるおそるチョコレートを一粒食べてみたけれど、一粒でいいやという感じになった。ああこんなの食べてたっけ〜と思う。前はひどいと1日に板チョコ3枚くらい消費してた。なんというか、チョコレート中毒は本当に際限がないのだ。頭を使っている間はチョコレートを食べないとやっていられないと勘違いしていたのかもしれない。好きという勘違いって、なんかせつないね。

 

大きかったのはあんこの存在(最後は氷になったけど)。食べ慣れてしまうとチョコレートよりも食べやすい(食べていることに対する罪悪感がないけれど、幸福感もそこそこという感じ)のと、あんこは中毒にはならなかった。というか、あんこを食べていると甘いもの自体あまり食べなくなるかもしれない。補助輪的な効果。

 

チョコレートを食べなくなって体重は減った。脂肪分の高い甘いもの自体を離れたせいか、全体的に痩せやすくなった気もする。気のせいかも。まあ痩せたのは事実です。1.5キロくらい。肋骨の隙間に指が入りやすくなった。その他ほかに変わったなあと感じる健康状態は特にない。

でも、案外あっさりやめられるものだし、ちょっと綺麗にうまくいき過ぎて嘘っぽくと思えてしまうほど、簡単に離れた。なんだろう、両極端という感じ。個人的な体感としては、チョコレートは中毒のときはチョコレートを食べないと死を感じるけれど、禁断症状を乗り越える期間がおどろくほど短いのと、禁断症状期間を超えると欲しさを全く感じなくなる。どころか味を忘れる。

 

 

 

ひとまずこんな感じでした。興味のある人はお試しください。少しくらい変化はあると思うので、試してみる価値はありです。