きみのお祭り

死ぬまで盛り上がっていけ

豊かさとお金をどう引き換えるかって話

 

豊かさとは、という話。

これまでお金に関する自己啓発本や投資のテクニック本などを数十冊ほど読んだり眺めたりしてみたけれど、だいたいの本に共通して書いてあったのは「消費ではなく投資をしろ」とか、「のちのちまで負債を背負い込むものに手を出すな」とか、「お金を稼ぐことではなく殖やすことを考えろ」とか、そんなかんじのことだった。では実際に何に投資をすべきで何にお金を使うべきではないかなどの具体例を挙げている書籍も多く、言いたいことはまあわかる。

 

そしてほとんどの本に共通して書かれているのは「〜をすると得(損)だ」という言葉。


わたしがこの言葉を見るたびに不思議に思ったのは、いったいこの本を書いた人たちにとって「得」とか「損」とかいうのが何を指しているのか、そしてわたしたち自身の「得」とか「損」はどう決まるのか、ということ。

たとえば、「ローンを数十年払い続ける持ち家を買うよりも死ぬまで賃貸で過ごした方が得だ」という話は、確か7〜8冊の本には書いてあった。言いたいことはわかるし、その原理も納得できる。電卓はあれば50年で持ち家と賃貸にかかるコスト差がどれだけになるかもすぐに計算できる。

けれども。

たとえば、「家族がいつまでも”ここが我が家”と帰ってこられる家がほしい」と願う人や、「自分や家族のライフステージに合わせて家を作り変えながら永く住むことを愉しみたい」と思う人にとっては、たとえ賃貸のほうが50年で数百万円の得(=コストカット)になろうとも、持ち家を買うことのほうがずっと価値がある。それは値段のつけられない価値であり、豊かさそのものだ。数字で測れない豊かさに対して、得とか損とかそういう話を持ちこむことはできない。

 

じぶんにとっての豊かさとは何なのか、豊かさを手に入れるためにお金と時間をどう使うか―そうしたことを考える機会は、少なくとも自分で稼ぐようになるまでほとんどなかった。
社会で出会う人たちのなかに、お金のさまざまな使い途を知っている人はたくさんいるけれども、お金と豊かさの引き換え方を知っている人は多くないように感じる。じぶんにとってほんとうに価値のある豊かさとは一体何なのか、それさえ真摯に見つめることができれば、お金って案外ついてくるもんなんじゃないか、と思ったり。

 

椎名林檎が歌っている「価値は生命に従って付いている」ってことば、すごく良いからみんな聴いてね。

 

 

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みずみずしい一瞬のいのち