きみのお祭り

死ぬまで盛り上がっていけ

東京一人暮らし物件探し、結局どこでもオタクは強い


24歳、初の一人暮らし。自立がだいぶ遅れてやってきましたね。実は半年以上前から物件自体は探していて、去年のうちから内見もしていたのですが、年始にちょっと本気を出した結果ほぼ数日で決まりました。めでた〜い。

内見した物件数、28。まわった不動産屋の数、およそ10。物件探し、めちゃくちゃ楽しかった。やれるところまでやった感がある。

以下、東京で初めて物件を探すにあたって、やって良かったことやわかったことなどを備忘録的にレポートします。これから物件探しをする人のお役に立てればうれしいです。

 

 

◆ 事前準備編 ◆

かなめは「条件の絞り込み」と「リストアップ」。この2つをやるだけで、物件探しの効率がまるで違ってくる。

条件はなるべく細かく絞り込んでおこう

希望物件が探しやすくなるのはもちろんのこと、どうしても見つからないときは条件をどれかひとつ変えるだけで、当初の希望になるべく近いまま新たな物件を探すことができる。無限物件探し。初回から「ここまで縛って本当に物件見つかる?」というレベルにまで縛っていい。縛りプレイはお嫌いですか?

今回は

・最寄り駅指定
・南向き
・2階以上
・角部屋
・バストイレ別
・コンロ二口以上
・家賃9.5万以下
・25m^2以上
・駅徒歩10分圏内

で探し、このすべてをクリアする物件を見つけ出した。変えると見つかりやすい条件は「最寄り駅」「家賃」「バストイレ」「広さ」。東京は所狭しと家が建っているので、「25m^2」で探すと「24.98m^2」の物件が取りこぼされたりしている。同じ広さでも間取りによってかなり印象は変わるので、広さの指定はゆるめで探しても良いかもしれない。
そして条件の優先順位づけも非常に大事。今回は挙げた条件を以下のように順位づけた。

 

日当たり・風通しの良さ>キッチンの使いやすさ>綺麗さ≧広さ>家賃>駅からの近さ

 

1. 日当たり・風通しの良さ
自宅で仕事をすることも多いため、必然的に家にいる時間が長い。早起きなこともあり、午前中は陽の光を浴びないとやる気が出ないし、風通しがないと気持ちがしょんぼりする。個人事業主が一番守らなくてはならない心身の健康のためにも、この条件だけはどうしても譲れなかった。

2. キッチンの使いやすさ
料理は趣味というよりも作業療法に近い。どうしてもつらくなってしまったときは、よく延々と煮込みスープを作る。野菜を刻み、肉を焼き、魚を切り、鍋をひたすらかき回しながら何十分もキッチンでぼんやりと過ごす時間なしでは生きていけない体になってしまった。ので、調理スペースの使いやすさはクオリティ・オブ・ライフに直結する。二口コンロ、欲を言えば三口コンロとまな板を横向きに置けるスペースこそが、我がオアシス。

3. 綺麗さ
家をパッと見たときに気分が上がるかどうかはめちゃくちゃ大事だと思う。だって帰ってきたくない家なんかに帰ってきたくない。家は帰る場所だ。いくら家の中を掃除して片付けても、建物そのものがボロボロで改修をされていなかったり、部屋のドアに辿り着くまでが暗くて汚かったりしたら、まあ帰ってきたくないよね。あとボロくて手入れのされていない家は絶対寒いので電気代がやばそう。

4. 広さ
「家の狭さはストレスに直結する」と建築をしている仲の良い人が言っていた。大量の資料や本、山道具、服、タップシューズ、カメラなどがあるため、収納別で最低7.5畳ないと物理的に厳しかった。とは言え年末に大断捨離大会を決行した結果、譲歩の兆しが見えたので、最終的には25m^2が最下限に落ち着いた。先程も書いたとおり、探すときは20で探したほうが楽。

5. 家賃、駅からの近さ
最寄り駅から徒歩10分圏内であれば9.5万までは出すつもりだった。複数ある業務委託先へのアクセスの良さや趣味の場への通いやすさなどをかんがみて「ここしかない」という駅を最初に決めていたので、そこがけっこう楽だった。特に希望がないけれど便利な立地に住みたい人にオススメの最寄り駅は、秋葉原飯田橋、池袋あたりかしら(諸説あり)

希望条件と詳細を物件ごとにリストアップせよ

物件名と物件URL、管理会社、望む条件など物件ごとに表にしてエクセルやスプレッドシートでまとめておくとものすごく役立つ。物件紹介サイトにアクセスして、写真と掲載情報からわかる情報の中で特にチェックしたいものをピックアップして表にしておこう。

今はサイト上で同じ物件を複数の会社が紹介していることもあるので、問い合わせを入れるときにダブりを事前に弾けるし、一度Webでチェックした物件は何が気に入ってチェックをしたのかがすぐに見返せる。

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こんな感じ。「ステータス」は内見可とか、X月中旬空き予定とか。

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条件だけでなく、気に入った点や気になる点も事前に簡単に残しておき、内見時にそこを注意してチェックする。「写真や図面ではここがいいと思ったけど実際行ったらこんな感じだった」「ここがちょっとマイナスポイントかなと思っていたけれど、行ってみたら案外悪くなかった」ということが何度か起こると、新しい物件を見つけ出したときに

「あ、これ前に見たこの物件と間取りが近い。ということは、広そうに見えるけど使い勝手があまり良くないかもしれない」

「駅から家まで踏切と車通りの多い道路をまたいでいるから、駅徒歩10分って書いてあるけど実際は15分はかかりそうだな」

「この間取りだったらこのスペースをうまく活用すればイケるっぽい」

というのがすぐに見抜けるようになる。後になるにつれて「これは進研ゼミでやった問題……!」に近い感覚が生まれて楽しかった。

あと、この表を不動産屋に直接見せると、物件好きな人であれば大抵歓迎してくれるし、より良い物件情報を紹介してもらいやすくなる。逆に引かれたり真面目に見てくれない不動産屋なら、そこはやめたほうが良いと思う。客に真面目に付き合ってくれる不動産屋のほうが良いです。これについてはもう少し詳しく後述します。

 

◆ 内見の心構え ◆

とにかく行け

図面上同じ広さでも、間取りが違うとだいぶ使い勝手が違う。先ほどの建築の人曰く、特別に部屋を区切りたい理由がなければ、壁はなるべく少ない物件のほうがいいとのこと。その分のスペースが使えるから。彼はわたしが持ってきた何枚もの間取り図を見ながら「俺だったらこの壁ぶっ壊しちゃうかな」と物騒なことを言いながら間取りと広さの体感値の関係について教えてくれたので、後半は「これはぶっ壊したほうが良い壁かどうか」という基準で物件を見ることで(良いのかそれは)、同じ広さの物件でも比較がしやすくなった。

慣れていくと、数字上は許容ギリギリと感じる広さでも、間取り図を見て「これなら妥協できそう」というのが感覚的にかなりわかるようになる。

帰ってきたくなる家かどうかを確かめる

条件の「綺麗さ」で言ったことにもつながるが、家は毎日いる場所なので、間違いなく居心地がいいほうが良い。駅から歩いてみて、「毎日この場所にこの道を通って帰ってくるのは嫌じゃないか」とか、けっこう重要な気がする。特に女性は暗い夜道は危ないので、希望度が高い物件はできれば日中と夜間の2回歩いてみるのがオススメ。

内見に行ってみて一番よくあったのが「住民の生活スタイルに引いたパターン」だった。内見を始めてみてからじゃないと気づけなかったけれど、こればかりは本当に出たとこ勝負というか、運。いくら良い条件だったとしても、エントランスに生ゴミの袋が放置されていたり、自転車の止め方がめちゃくちゃだったり、変なお札が大量にドアに貼ってあったりしたら、中を見ずともその場で「ここはないな」と早々に心が決まった。住環境が悪いと本当につらいと思うので、特に早く帰れる仕事に就いている人は、近隣住民や環境が嫌じゃないかはしっかり確認したほうが良い。

ほかにも、窓からの眺望や水回りの掃除のしやすさ、階段の傾斜など、微妙だけどじわじわとHPに影響しそうなところはよく見ておくこと。騒音が気になる人は、建物の音の響きやすさだけでなく、近くに公園や保育園、小学校などがないかも確かめよう。

物件を見に行くときは「超わがままモード」で良いと思う。図面や事前情報上完璧な物件は、何か一つでも不満点を見つけに行くつもりで行け。住む前から「ちょっと…」と思うところは、住み始めたら絶対めちゃくちゃ気になるから。内見に行ってみて「これはやだな」と思った気持ちをメモに残しておくと、言語化されていなかったけれど譲れないものがハッキリ見えてきておもしろい。

 

◆ わかったこと ◆

条件はマジでトレードオフ

駅徒歩分数、日当たり、広さ、家賃。パラメーターはたくさんありますが、やはりトレードオフ。安いけど北向き。広いけど古くて寒い。便利だけどうるさい。もうこればかりは本当に行ってみるしかない。「トレードオフでもこの条件ならまだ許せそうかな」のギリギリを探っていくゲームだった。

直感はほんとうに超大事。街の歩き心地を確かめよ

条件上良くても、行ってみてウーンという物件は多々あった。建物だけでなく、住環境と街の空気が個人的にすごく大事だったのは、内見をしてみての大きな発見。エントランスが汚くて暗いマンションなんかに絶対帰りたくない。車通りが激しい大通りの狭い歩道を5分も歩かされたらめちゃくちゃに消耗する。他の住民の洗濯物がこれでもかと詰め込んで干してあるベランダなんて見たくない。多少家賃が上がっても、ここにいたいと思える自分の城を探す必要があるんだなと実感した。

そのためには、その街をよく歩いて、街の歩き心地を確かめること。道路一本挟んだ反対側は驚くほど静かだったり、イケると思った距離が案外遠くて疲れたりもする。住みたい候補の街は、時間の許す限り歩き尽くしてみよう。帰り道に寄りたくなるお店があるとか、小さいながらも手入れの行き届いたガーデニングをしている家が多いとか、そういうとるに足らないようなことが街の印象を決める。

信頼できる不動産屋を探そう

これが今回の記事のタイトルの所以なのですが、不動産屋は絶対に絶対に物件オタクもしくは土地オタクの方が良い。

昨年から述べ10件近い不動産屋をめぐり、なかには2社から同じ物件の紹介を受けて2回別の不動産屋経由で内見に行ったりもした。無口な人、よく喋る人、営業モード全開の人、素朴な人。いろいろな人がいたけれど、良い不動産屋というのは、不動産や土地の話をするのが好きでたまらない人だ。

結局、オタクは強い。物件や土地が純粋に好きな人はそれだけ引き出しを多く持っているだけでなく、オタクの磨かれた審美眼から物件を勧めてくれる。今回お願いすることにした担当者さんも、わたしが提示するものすごい量の条件を熱心に読み込んだあと、

「あ〜この物件は日当たりの観点から言うとちょっと……オススメできなくはないけど、この値段なら探せばもう少しある……気がします……」

「本棚を最低2基置くのであれば、この物件は図面の広さ的に微妙っぽく見えますけど、置き方次第で問題なく過ごせると思います」

「こっちの物件ってオシャレで立地も便利だし、パッと見良いんですけど、長く住むとなると収納がこの狭さなのはちょっとストレスかもしれないですね……」

など、ときには自社にとって不利ともなりかねないような情報も遠慮なく開示してくれた。オタクのなせる技、すなわち愛である。のみならず、わたしが内見で気に入らなかった物件については

「どこがもっとどうなったら良かったのか」

「この条件はこっちの条件と比較してなぜ大切なのか」

ということをたくさん質問してくれたので、本当に信頼できた。最終的に第一候補となった物件の仮押さえに進むかどうか悩んでいたとき、後押しになったのはこの人の「この物件はオーナーが大手企業なのでトラブルが起こってもすぐに対応してくれますし、入居者審査もしっかりしているので、ここであれば藤坂さんを安心して預けられると思います」という言葉だった。親かよ。最高だ。

自分探しをしたければ家を探すと良い

今回の家探しを通して、あらゆる場面において自分という人間の色々な側面を改めて知った気がする。候補地は最寄り駅を中心として半径2キロ以内を何度も徹底的に歩きまくって、良さそうなスーパーや住みたい・住みたくない地区を徹底的に洗い出したし、条件もかなり厳し目に絞って、たとえ見つからなくても見つかるまで待ったり探したりした。待った結果、数ヶ月前までは譲れなかった条件が譲れるようになったり、逆に新しい希望条件ができたりもしたので、なんというか、成長の軌跡が如実に感じられた。

家探しにかかわる色々な活動をした結果、わたしは超絶わがままで、生活に密着するものに関しては石橋を叩きに叩いて渡らないこともあり、絶対に良いと思ったものだけを選ぶ胆力と、それを探し出すまで諦めないしたたかさがあることがわかった。つよい。これから先、人生の何かにおいて道を見失ったとき、きっとわたしは初めて自分の家を探したときのことを思い出すと思う。住みたい家を自力で探し出せて選ぶことができたという経験は、どこかで効いてくるんじゃないだろうか。

 

◆ その他感想など ◆

 

・「壁はなるべく少ない物件のほうがいい」は間違いなかった。少ないほうがいいです。開放感LOVE人間なので。あと室内の動線を邪魔しないという意味でも。広い部屋だとエアコンがかかりにくいのかもしれないけれど、10畳以内なら問題ないはず。

・高層階はとにかく人目が気にならないことと日当たりと風通しが抜群なので個人的にはオススメ。夏めっちゃ暑かったりするのかな……そこはこれから暮らしてみてですね。
・東京の賃貸に住まうならばロフトベッドが最適解っぽいので買ってみます。