きみのお祭り

死ぬまで盛り上がっていけ

野球はうつくしいスポーツだった

前回のプロメアに続き、これまた会社の別の人に誘ってもらって、東京ドームへ野球を観に行った。スポーツ観戦はほとんど興味がなかったし、野球だって冗談抜きで「棒で球を打つ」以上のことを何も知らなかった。が、「ドームのチケットとるけど、来る?」と訊かれたとき、「金曜夜、熱気あふれるなか、頑張っている人たちを眺めながら、でっかいビール、夏」という絵が0.2秒で頭を駆け抜け、「行きます」と即答してしまった。

結論、すばらしかった。初めて生で観る野球はほんとうにおもしろかった。もちろん金曜夜のでっかいビールも最高だったが、ビールついでに野球を観るか、くらいの気持ちだったのに、完全に野球に心を持っていかれてしまった。

まず、選手たちの肉体美よ。背の高さや骨格の違いはあれど、誰もがひとしくうつくしい。岩壁のようにどっしりとした身体、カモシカのように細く引き締まった身体。あの身体になるまでに各々が過ごしてきた時間のことを思うと、それだけでなんかもう泣けてしまった。お母さんかわたしは。

チアの女の子たちの一所懸命さとうつくしさも泣ける

そして、野球はうつくしい。投手がボールを投げる瞬間の緊張感と、打者がバットを振る瞬間の力みと開放。ボールが飛んでいけば、各々のポジションに立つ選手たちが一斉に動き始め、球場全体がひとつの生きもののようにうごめきだす。ぎりぎりのところで間に合うか、間に合わないか。白球は矢のように鋭く飛んでいき、選手は全身全霊を懸けてホームベースへ駆けていく。対照的な「まっすぐ速く」がダイナミックに交錯するグラウンド。「投げた」「打った」の爆発するエネルギーが満ち満ちていくあの時間が、たまらない。

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応援だってすごい。今回座ったのは一塁側の席だったが、外野席には絶え間なく歓声が響き、大きな旗がこれでもかと振られ、小気味よい笛の高音が場をきびきびと指揮する。選手一人ひとりに応援歌があって、みんながそれを歌いながら自分のことかのように試合の行方を見守り、良いプレーが飛び出せば全身で跳んで両手を振り、大歓声をあげる。あんなにもたくさんの人々が、グラウンドで繰り広げられる時間を真剣に見つめている。その圧は、さながら天空の龍のごとし(見たことないけど)。

今回観に行ったのが東京ドームという場所だったのもよかったのかもしれない。入口の目の前には後楽園遊園地の観覧車とジェットコースターがバーンとそびえたっていて、悲鳴とともに人が豪速で落っこちていくのを見るだけでわくわくした。ドームはとにかく大きくて、飲食店がたくさんあって、グッズショップなんかも充実していて、終始お祭りのようだった。背中にサーバーを担いで元気にビールを売り歩く売り子さんたちはみんなかわいい。誰もが少年みたいな顔をして、唐揚げを食べたり、タオルを振り回したりしている。もちろん片手にはだいたいアルコール。

野球場のビールは世界一うまい

野球場という場所の楽しさ、野球の観戦と応援の面白さ、そして野球というスポーツのうつくしさ、すべて大満足だった。良い夏が始められそう。「今度は神宮ね」とみんなで約束をしたので、今から8月が楽しみ。