きみのお祭り

死ぬまで盛り上がっていけ

三十にして立たされる

30歳になった。 生きていくこと。あらゆる可能性のなかへと投げ出されると同時に、転がりこんだ先以外のすべての可能性が否応なく排除される運動の連続。生きているというのがどういうことかは未だまったくわからないけれど、波のような運動の繰り返しが自分…

意志を持って消す火を選べ

さらば2023! *** 4つのコンロ理論。それぞれのコンロに点る火は、家族、友人、健康、仕事。成功するためには1つの火を、もっと成功するためには2つの火を消す必要があるという。 今年新しく始めた仕事は、ほんとうにおもしろい。性に合っているし、これ…

晩秋の九州まんなか旅 阿蘇-くじゅう-熊本-上天草

大きな飴玉を口の中でゆっくりころがすように、何度も思い出したい旅。 旅程は 1日目:熊本空港in→阿蘇→くじゅう連山の麓 2日目:くじゅう連山→熊本市内 3日目:熊本市内→宇城 4日目:宇城→上天草→熊本空港out 今回の旅は前半登山、後半観光。天気によく恵ま…

お元気ですか?2023秋

夏のことを振り返りたいななんて思っていたのに、気がつけばしっかり秋。なんなら今朝は早朝の風に冬が混ざっていた。 お元気ですか? わたしはまあまあ元気です。春過ぎに仕事を変えて、9月10月で初めて大きなプロジェクトをメインで担当させてもらい、それ…

生活に疲れるという贅沢について

贅沢なことだ、と思う。生活の繰り返しに疲れることを。毎日同じ時間に起きて、ストレッチ。水を飲んで、走りに出る。5キロちょっと走る。帰宅。水を飲み、ストレッチ、筋トレ。シャワーを浴びていると、夫が起きてくる。コーヒー。掃除機。デスクに向かい、…

夏の北海道旅の記録 登別-洞爺湖-ニセコ-積丹-小樽

夏の北海道。文字だけでこれよりわくわくする旅ってなかなかない。 1日目:新千歳→支笏湖→登別→虎杖浜 2日目:虎杖浜→洞爺湖→ニセコ 3日目:ニセコ→積丹→小樽 4日目:小樽→江別→新千歳 〇海(地球岬、神威岬) 地球岬 曇っていたせいもあるが、空と海の境目…

2023夏の始まり、日々の記録

見返すわけでもないのに、日記を書いたり、写真を撮ったりする。記録は、鮮度を保存するためだけに為されていい。 === 自分のためだけの2連休が必要。労働者でも、妻でも、友人でも、娘でも、先生でも、先輩でも後輩でもない、どの名前も背負わなくていい…

野球はうつくしいスポーツだった

前回のプロメアに続き、これまた会社の別の人に誘ってもらって、東京ドームへ野球を観に行った。スポーツ観戦はほとんど興味がなかったし、野球だって冗談抜きで「棒で球を打つ」以上のことを何も知らなかった。が、「ドームのチケットとるけど、来る?」と…

3年ぶりプロメアの感想と雑な考察

会社の人に誘ってもらい、3年ぶりにプロメア。やっぱりいいよプロメア。音楽、モーションやグラフィックデザイン、キャラデザのかっこよさやうつくしさが最高であることは言うまでもなく、ストーリー含め中身にも見どころが多くて、掘っても掘っても追いつか…

くちなしの海を走る

毎日走る公園に、ここしばらくくちなしが咲きみだれている。それはもう、「みだれている」という表現しか見当たらないほどに。 夜なんか、走っていてくちなしゾーンに来ると、夢を見ているような気分になる。濃く甘い、抜けるような芳香が強く漂って、暗い闇…

ねこおじさんが行方不明

そのおじさんは、いつもベンチに猫を置いている。だからねこおじさん。愛称は「ねこおじ」。 ねこおじさんは、たぶん還暦を過ぎたくらい。小柄で、黒いぶかぶかのウィンドブレーカーを着て、両手をポッケに突っ込んで、近所の公園のベンチに毎日いる。人相は…

初春、北海道旅の記録 旭川-剣淵-士別-美瑛-東川

美瑛の丘から 行ったところ・見たもの・触れたもの 旭山動物園:檻やガラス窓はほかの動物園と同じく設置されているのに、動物との距離が近く感じられる。園内のいたるところにお手製の解説パネルが掲示されていて、それらがとてもおもしろい。専門性とわか…

文章、退職、回復、

文章を書くことを忘れていたわけではない。というよりむしろ、ここではない媒体で、短い文章をたくさんたくさん書いていた。野球の1000本ノックみたいに。ひたすら投げるように、バットを振るように。推敲もしないし読み返しもしない、ただあふれてくる言葉…

2023冬 祖母の記録

そのとき彼女は、「うちの前に不審者がいる」と思った。 コンビニの夜勤を終え、深夜二時。自転車で帰路につき、自宅の敷地に入ろうとしたら、玄関の数メートル手前にうずくまっている人影がある。その人は身動きひとつせず、ちいさく丸まって、じっと下を向…

書き始めるのに書き終えられない(をなんとかするぞ2023)

最近あまりに文章を書いていない。嘘。書いてはいるのだけど、書き終えないまま下書きにしまい込んであるのがたくさんある。いま数えたら、去年の秋頃から年末にかけて途中のまま下書きに放り込んだ記事が6本あった。正確には、文章を書いていないのではなく…

作文・読書感想文の書き方 ~鹿の巻~

夏ですね。夏休みはどうして読書感想文を書かされるのでしょうね。普段から10代の人々に文章を教えているので、備忘録を兼ねて「読書感想文の書き方」をまとめてみました。 〇 作文の話 ・読書感想文=「作文」の一種 ・では「作文」とは? → 自分が経験した…

香川県丸亀市という土地

尾道→今治でしまなみ海道を走ったあと、前々からずっと食べたいと思っていたものを食べに行くことにした。香川のうどんである。 土地と料理のイメージの結びつきにおいて、「香川とうどん」ほどの強さを持つペアはあまりないのではないか。少なくともわたし…

映画『神々の山嶺』「そうとしか生きられない」人へ

※ ラストシーンに言及しています ※ 映画『神々の山嶺』公式サイト 「神々の山嶺」観てきた。山映画は基本全部観る。観てよかったと言える作品であったことがひとまずうれしい。あの尺の中で、山を登る人の抱える業が感傷に塗りたくられず描かれていたところ…

わかるまで何度でも言うしかないさ

わたしは覚えたことをけっこうすぐに、割と何度も忘れる。忘れる→思い出す(学びなおす)のプロセスを複数回踏まないと、だいたいのことが定着しない。 物事を学んだり覚えたりすることをあまり苦に感じないのがせめてもの救いだが、忘れるたびに「なんだっ…

主訴「痛み」での緊急搬送

深夜2時に救急車で搬送された。ここ数日どうにも内臓や全身が痛く、立ったり座ったり寝たり起きたりだましだましやっていたが、昨晩の深夜過ぎにいよいよ眠れないほどの激痛になり呼吸も怪しくなったので、救急相談センターに相談したところ、即救急車となっ…

透明な世界

自分が存在しない世界のことを想像するのは不思議な気分だ。想像するはずの自分はいないのに、透明になって、あらゆる日常を見下ろしている。つまり、わたしがわたしの存在しない世界を想像するとき、それは常に、「わたしがいない/いなくなった世界」ではな…

思い出したくない痛みのこと

自分が当たり前にいた環境を疑うことはむずかしい。それが子どもならなおのことそうだ。 ときどき、10年も20年も前のことが突然フラッシュバックしては感情の波にさいなまれるということをここ数年以上繰り返している。自分が育った家族や家庭環境について。…

2022春 祖母の記録

先日、久しぶりに祖母の家に遊びに行った。あいかわらず認知症はゆるやかに進行していて、耳も遠いから会話らしい会話はほとんどしない。祖母はわたしが冷蔵庫を開けたり、ねこの腹をぐりぐりやったりしているのをニコニコしながら見ている。わたしが家に行…

2022april_最近の走り書き

うっかりここに何も書かないまま4月を終えそうになっているので、走り書きを残しておく。 === 人生山あり谷ありというが、山だの谷だのの起伏にいちいち感情を持ち出すことがめんどうになりつつある。物事は常に起こり続け、時間は静止せず、その揺らぎが…

桜の話

春といえば満開の桜だが、桜が咲いている時間はほかの花と比べるとかなり短いように思う。あ、始まった、と思った数日後には満開になり、それから2日もすればもう花弁が欠ける。儚い花、一瞬の花だけれども、それでも桜は千年以上も前から、春の象徴であり続…

反進歩主義の話

はたして欲張る必要があるのだろうか。毎日同じことをしていても、全然悪くないと思う。毎日できる限りの、したい限りのことをしたいようにして。けれどもしていることに手は抜かず、自分に後ろめたさを覚えないように。それだけを繰り返していれば、自然と…

違和感と共感の話

当たり前だが、違和感と共感は違う。なんか変だな、ちょっとおかしい気がする、という感覚と、わかる、正しいように思う、という感覚。 しかしこれら、ベクトルが違うだけで、実は同じ気付きをもたらすのではなかろうか。すなわち、「自分がどのような常識や…

スキー旅行の話

夫にスキー旅行をプレゼントしてもらった。人生通算3度目のスキー。某雪国で丸2日滑り倒した。 雪国の朝 夫は普段ほとんど運動しない。オフの日は一日部屋にこもってカメラをいじったりお笑いを見たりしている。というか、日常生活の中で走っているところす…

誕生の話

2022年2月4日、28歳になった。 生き死にはほんとうにわからない。昨年の暮れに突然逝ってしまった祖父。その前の前の年の大雪に突然さらわれてしまった犬。出生が意志に因らないように、死もまた意志のもとにない。人は自死を選べるなんて嘘だ。肉体を破壊し…

ミケル・バルセロの話

初台のオペラシティアートギャラリーで開催しているミケル・バルセロの展示へ。恩師の先生がカタログの論文を翻訳しているとのことで、チケットをいただいた(先生、ありがとうございます) ミケル・バルセロ展 | 東京オペラシティ アートギャラリー | 美術…